■単室加圧式アルコールストーブの原理
「Pressurized Jet Alcohol Stove」というストーブです。
構造は単純ですが、色々考えることもあります。
構造としては、アルミで作った密閉筐体にジェット孔が開いているだけです。
燃料注入孔を開けておいてコインで蓋をしたり、燃料注入孔をジェット孔と兼用にしたりします。
■その原理
炎の熱が筐体に伝わり、内部のアルコール燃料を沸騰させます。
アルコール蒸気がジェット孔から噴出し、燃焼するというサイクルが形成されます。
点火時は筐体を直接アルコールの炎で包んでプレヒートします。
■火力はどうやって決まるか
普通の65ミリ缶の場合、0.8ミリジェット孔×12個〜16個などが一般的です。
ジェット孔の直径、数を色々試すのが面白かったりしますが、実はジェット孔の大小や数量は火力にはあまり関係ありません。
火力は、アルコールの蒸発量で決まります。
蒸発量は、炎の熱からの熱帰還量で決まります。
熱帰還量は、炎の熱がどれだけ筐体に伝わるかです。
1)鍋の底からの炎の反射熱
2)炎の根元の熱が筐体に直接伝わる
3)周りに置いた五徳からの反射熱
要するに五徳と鍋とストーブの直径が同じなら、熱帰還量はどうやってもほぼ一定です。
ジェット孔の数、直径が関係ないかというと、炎の先端の温度の高いところを鍋底にきちんとあてるためには多少の試行錯誤が必要です。
あまりジェット孔の総面積が小さいと、アルコール蒸気の噴出速度が高くなりすぎて炎が維持できなくなったりします。
■温度分布
アルコール炎の温度分布は、
先端で1040℃
根元で640℃
■材料
金属材料の 融点、熱伝導率
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アルミ 660℃ 237
銅 1083℃ 398
真鍮 約900℃ 106
ステンレス 1400℃ 15
チタン 1660℃ 22
アルミは五徳には不適当。
ブースターは銅に限る。
などが上の数字からわかると思います。
■作り方のコツ
缶二つを合わせた時の密閉度をどうやって確保するかということです。
フレアを作ったり、切れ目を作ったりすると楽に勘合できますが、密閉度は下がります。
この形式のストーブにはテープ貼りがは厳禁です。
片方の缶の縁を広げておいて、あとはアルミ材の延性を使って外側の缶を押し広げながら押し込みます。
ということは、内側になる法の缶を多少強度の高い缶を使うのがコツです。
缶としては比較的薄いほうのビール缶を二つ使うと、内側の缶が座屈したりしますから気を付けてくださいね。
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