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ピアノ奏法について

 ここでは、おもにピアノを弾くときの指の格好について論じます。

指の形

 ピアノを弾くときの指の形はどれが理想なのか、いろいろ論議があると思います。
 時代と共に指の形の考え方も変わってきているようです。
 現在の僕の考え方は、「出したい音によって手の形は変わる」というものです。

古典期の作品に向いた指の形

 誰でも最初にやるバイエルからベートーベン、クレメンティなどを指します。
 この頃の楽器はハンマーが硬いので、柔らかい音を出さなくてはならないような楽曲はありません。
 指はできるだけ立てるようにすべきです。
 立てすぎて、指が手の甲側に曲がらないように。 これは「ハイフィンガー」といって間違った奏法です。
 また、指先を鍵盤から離さないように。
 それは、チェンバロの弾き方です。

ロマン派の作品に向いた指の形

 この時代にはショパンとリストが重力奏法を編み出しました。
 腕の力を抜いて、腕を鍵盤の底で支えます。 これには腕は力が抜けているけれど、指先には力がこもっているという感覚が必要。
 この時代にはフェルトハンマーが一般的になっているので、音の大小を弾き分けるというよりかは、音の柔らかさをタッチで調節するという考え方に変わってきます。
 そうすると、「指を立てろ」ばかりではなく、指の腹で弾くようなタッチも必要になってきます。

バロックに向いた指の形

 このあたりが、一番議論が遅れているところでしょう。
 バッハの曲集はオルガンを前提にしていると思われてきましたので、バッハと指の形はあまり議論されてきませんでした。
 ところが、バッハはオルガンではなくクラビコードのために練習曲を書いたという説が発表され、そのなかでバッハは独自に重力奏法を編み出していたということが明らかにされます。
 指先で肘を含む腕全体をぶら下げながら弾く奏法で、これをやるためには椅子が極端に低くないといけません。
 これを実践しているのがグールドで、極端なまでの椅子の低さにはちゃんとした理由があったのです。

変遷

 ピアノを学習するときには、バイエルから始まってチェルニーへ、ブルグミューラーとソナチネを併用、やがてバッハ・ショパン・リストへというのが通常のやり方でしょう。
 古典期から始めるのは、良いことであるとは思います。
 ただ、バロック、ロマンの準備段階として古典期があるのではないということだけは理解しておく必要があります。
 古典期、ロマン期、バロック期とそれぞれに別の打鍵理論があり、それらは順番に学んでいく必要はないのです。
 ですから、欧米でのピアノ学習は4期を並行しておこない、コンクールなどでも4期を含んだ課題がだされるのです。
 問題は、古典期の打鍵理論で全てを弾かせようとすることにあります。
 ピアノ教師を選ぶのが難しいのは、教師がそれを理解しているかが単刀直入に訊き難いからで、ある種の賭けでさえあります。

重力奏法の欠点

 このHPでも当初は重力奏法を薦める立場でしたが、いろいろ考えていくと徐々にスタンスが変わってきました。
 重力奏法は、打鍵している指の付け根の関節に腕の重さを預けて弾く奏法です。
 全部預けるとフォルテッシモとなり、肩、肘に力を入れて手首を浮かせて弾くとピアニッシモとなります。
 ここで問題点として挙げられるのは、
 1)小学生では指の関節が腕を支えきれない。
 2)打鍵後に鍵盤を押さえつける力を抜くことが出来ない。
 という2点です。

 2)の問題は結構深刻で、打鍵後、離鍵間までの間、指をどうしているのが正解かという問題でもあります。
 ピアノの構造から、ハンマーが打弦したあとは指をどうしようとダンパーさえ弦に触れなければ音の大きさは変わりません。
 鍵盤のアクション部分の木材も楽器の一部ですから、音の響きを考えると打弦後はダンパーが戻らない最低の力で鍵盤を支えるのが良いということになります。
 手を鍵盤のボトムで支える重力奏法ではこれが出来ないのです。

バイエル的奏法の欠点

 普通のピアノ教師の教える打鍵法としては、
 指を立てて、
 手は丸く、
 余計な力は抜いて、
 と言われます。
 これも盲信することはできません。
 指を立てることはピアノの奏法の基本ではありません。
 しかし指を立てないと出せない音というものはあり、同時に指を寝かせないと出せない音もあります。
 両方が出来ることが重要なのです。

ピアノは打楽器か弦楽器か

 旧来のピアノ学習においては、ピアノが打楽器だと教えられます。
 その最右翼がハイフィンガーといわれる奏法です。
 これは、打鍵速度を稼ぐために指のバックスィングを十分に取る奏法です。
 体格の劣る日本人がスタインフェイのフルコンをホールでフォルテで鳴らすためには有効な打鍵法です。
 しかし、同じ方法論でロマン派以降の柔らかい音を鳴らすのは無理があります。
 柔らかい音をだそうとすれば、ハンマーのフェルトをできるだけ潰さないように打鍵速度を遅くする必要があります。
 鍵盤の向こうにジャック、ハンマー、アンダーフェルト、フェルト、弦、ダンパーがあることを探りながら弾かなくてはなりません。
 そのためには、指の一番敏感な部分で出来るだけ鍵盤との接触面積を大きくする必要があります。
 そうするとフジ子ヘミングのような低い打鍵姿勢となるのは理解いただけるとおもいます。

 ピアノには打楽器的側面もあり弦楽器的側面もあります。
 クラシックギターの学習者ならば、大きな鋭い音は指の先の爪を使って弾き、柔らかい音は出来るだけ指を広く使って必要なら親指の腹で弾くというのは誰でも自然に覚えることです。
 ピアノの奏法においても事情は全く同じですが、小さいころから「指を立てて」とばかりやかましく言われるのは問題です。
 そこで、ピアノの学習者には右手で弦を直接触る弦楽器をやってみることをお勧めします。
 ウッドベースやガットギターなどです。
 同じことを鍵盤やハンマーを通してやらなくてはならないということを理解する必要があるのです。

なぜ「指を立てろ」と指導されるのか。 10-07-17

 二つの理由があるようです。
 1)長い指、短い指の長さを合わせるために、長い指を曲げる。
 2)「指を立てろ」と指導するほうが楽。
 3)コンクールで審査員席まで届く大きな音を出すため。

 ハノンまではハ長調偏重ですので、白鍵上に指をそろえようとすると長い指を畳まないと揃いませんよね。
 「普段弾くのは白鍵で、黒鍵は特別に指を一時的に伸ばして弾く」と考えている教師が指を立てろと教えます。

 指先の中で打鍵に適した場所を伝えるのは難しいのです。
 曲想によってもその場所は変わりますからね。
 そんなことをレッスンに来た幼児には教えられないので、とりあえず「指を立てろ」と教えます。
 逆に言えば、「指を立てろ」とヒステリックに言っていればピアノ教師に見えますし、それを聞いた生徒の親もその通りに叱れますので猫も杓子もそうやって指導しているというだけです。
 また、明治時代に始まった日本のピアノ教育では「情熱的」に強い音を出すのが是とされていました。 幼児に大きな音を出させようとして、指を高く振り上げて叩き下ろさせたんでしょうね。

伸ばした指の形の考え方 10-07-17

 構えの形は、伸筋と屈筋の両方に力を入れない形です。
 「うらめしや〜」の手の形になります。
 ここまではいいんです。
 問題は、指先だけ脱力して鍵盤の上に浮かせようとするからで、これだと肘の力は入ったままです。
 肘の力も抜いて、指先を鍵盤に乗せて腕の力も指5本に分散させて支えます。
 こうすると、指は腕の重さで少々伸びた形になります。
 2,3,4の指は黒鍵に載せましょうね。

重力奏法を論じたHP

 わざわざ門外漢の僕が書かなくても、ピアノ奏者の方が重力奏法について解説してくれています。
 そんなHPをご紹介します。
 Conserto house Home Page
 手首の使い方を詳しく解説されています。
 
 ピアノ学概説
 タッチについて詳細がわかるHypererionさんのページ

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