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ピアノを勉強するときに覚えておくこと
ヤマハなり大手のピアノ教室で個人の先生に付いてピアノを習うだけでは教えてもらえないけど、知っておくとピアノ学習の基礎になる事柄などについて書いてみます。
古典期の教則本
チェルニーはベートーベンの弟子で代理演奏をするほどの腕前でした。
ということは、チェルニーをやってもベートーベンしか身につかないし、ベートーベンのソナタをやるほうがためになるということです。
バロック期の教則本
バッハはチェルニーなどが終わった後に出てきますが、バッハの時代はピアノは発明されたばかりでバッハはピアノで作曲したことはないはずです。
ということはバッハの教則本からピアノの奏法を勉強することは出来ません。
純粋に旋法の教科書として考えなくてはいけません。
バッハの楽譜にアーティキュレーションが書かれています。
それらは編纂者の主観で書かれていますからその編纂者が教授をしている音大を受験するなら別ですが、自分の感性と違うと感じるのなら従う必要はありません。
もっともバロック時代の鍵盤楽器のチェンバロやオルガンは強弱がつけられない楽器ですので、もともと楽譜にも強弱の考え方はありません。
クラビコードは多少の強弱はつきますが、音量が小さいのでフォルテといっても現代のピアノでがんがん弾いては曲想がめちゃくちゃになります。
(追記)
バッハが楽器として想定していたのは、クラヴィコードだというのが定説です。
これはピアノと違って、鍵盤を強く押さえ続けないと音が持続しないと言う楽器です。
古典期以降で使うピアノが打鍵の速さで音量をコントロールするのに対し、バッハを弾くときには鍵盤を底まで押さえ続けることに重点を置くべきです。
ロマン派以降の教則本
バイエル、チェルニー、ブルグミュラー、ソナチネ、ソナタと進んできてもここまでは古典派の楽曲で、当時の作曲家が使っていたピアノは初期のウィーン式アクションのピアノです。
スタインウェイに代表される鍵盤の重い現代ピアノが出現するのはリストなどのロマン派以降です。
(ロマン派でもショパンはウィーン式ですけど)
ここまで古典派の教則本でやってきたことがこれからのロマン派の勉強に役に立つかといえば、あまり役に立たないといえます。
古典派まではハ長調が基本で、指の力で打鍵する手法ですが、ロマン派でショパンとリストが重力奏法を編み出します。
特にショパンは、指を伸ばして2,3,4の長い指を黒鍵に割り当てるやり方ですから、いままで一生懸命に丸めた指の先で弾いていたのを伸ばした指の腹で弾くことを覚えなくてはなりません。
怖いのは、ショパンを丸めた指のままで指導されることで、これから習う先生がそこまで認識しているかは賭けです。 バイエルを始めたころの生徒やその親が先生にそんなこと怖くて聞けないでしょ?
対してリストは曲げた指、延ばした肘の超絶技巧重力奏法です。 ここにたどり着く前に「脱力」をマスターしておく必要があります。
重力奏法
中村紘子さんの自殺未遂などの話題から重力奏法が注目され、指を延ばして弾くのが新しい方法と思われています。
いけないのは、「ハイフィンガー」と呼ばれる指を鍵盤から離しておく奏法で、丸めた指がいけないのではありません。
出したい音によって指を丸めるか延ばすかを奏者が使い分ければよいのであって、ピアノを学習する限りは延ばした指も丸めた指も練習しなくてはなりません。
日本のピアノ教育界は延ばした指が浸透していく過程にあるので、両方の奏法を明確に教えられるピアノ教師はまだ一般には居ないでしょう。
レパートリーを持とう
日本には、ピアノ学習は音楽だとは思わない傾向があるように思います。
ロックやフォークを学ぶ人は、最初からバンドを組み、相応の曲を人前で演奏しながら上手くなっていきます。
ピアノも人前で演奏することをもっと重視するべきでしょう。
ハノンやチェルニーばかり練習する人は、フォークギターで言うとアルペジオやコードフォームの練習ばかりでステージ用の曲を知らない人と同じです。
良いピアニストの演奏をたくさん聞いて、雰囲気を真似してみましょう。
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