素振りはバッティングの基本か?

 「バッティングの基本は素振りだ!」とスランプに陥ったプロ野球選手が必死に練習している姿が報道されたりしますが、それ本当?

素振りが基本であるための条件

 素振りが有効な練習になるためにはいくつか条件があります。
 1)正解の素振りフォームが分かっている、あるいは誰かに指導してもらえること。
 2)素振りをした結果を客観的に判断する人がいること。

 あくまで正しいフォームが分かっていて、そのフォームどおりにバットが振れるようにするのが素振りです。
 回数を繰り返すことによって、正しいフォームが自然に身につき、バッティングがうまくなるわけではありません。
 小学生が一人で素振りをやっても、変なフォームが忘れられなくなるだけです。
 まぁ、筋力トレーニングにはなりますから、止めはしませんが。

なぜ、素振りは基本だと言われるのか。

 バッティングの理論など分からないコーチが指導者の振りをするためです。
 「素振りをやれ!」と言っていればバッティングコーチの振りが出来ます。
 子供が打てなければ、「素振りが足りない」と言っていればいいので楽です。

 素振り以外の練習法が思いつかないコーチが指導しているから、というのが理由でしょうね。

バッティングフォームの個性とは?

 プロ野球の打者を見ると、個性さまざまなフォームの選手ばかりです。
 それを個性で片付けていいのでしょうか。
 指導方法を知らないコーチが育てた選手がコーチになって、やはり理論など知らずに指導するから子供のころの間違ったフォームを「個性」として素振りで身体になじませてしまうから、あんなに個性豊かなフォームが生まれるのです。

 はっきり言って、バッティングフォームに個性など必要ありません。
 バットがボールに当たるのは物理現象でしかないので、最良のフォームはひとつしかありません。

自由脚の踏み出しについて

 わざわざ体制を崩してまで自由脚を上げて踏み出す理由を考えたことがありますか?
 大きく踏み出すほどパワーが出ると思っていませんか。

 バッティングで一番やってはいけないことは、回転軸を移動させてしまうことです。
 「打てる!」と思ってバットを振り出してから、軸を動かしてしまっては当たるもんも当たらなくなります。
 踏み出してもいいですけど、軸は動かさずに踏み出してくださいね。

 そもそも何故踏み出すのかというと、瞬間的に見かけの体重を増やすためです。
 自分の体重を一瞬浮かせてから着地させることによって9.8Gの重力を利用するのです。
 そうすると、自由脚から体重を抜いてはいけません。
 軸足に体重を移すこと無しに自由脚を浮かせることが重要です。
 インパクトの瞬間に自由脚を着地させることで、9.8Gが仮想的な体重となって利用できます。

 一度自由脚から体重を抜いてしまうと、もう一度体重を乗せなおさないといけません。
 これが結構時間がかかります。
 小学生には無理だと思いますよ。

 とすると、踏み出しのやり方とは、
 1)軸足と自由脚に均等に体重を掛け、
 2)軸足の体重を50%から増やさないように気をつけて一瞬自由脚を浮かせる。
 3)インパクトの瞬間に50%の体重を踏みしめる。
といった感じでしょうか。
 このやり方は、少林寺拳法の「震脚」の技法と琉球唐手のナイファンチに源流があります。

 あまり派手に自由脚を持ち上げないほうが良いのは、ゴルフファーがトップオブスイングで左足をあげる人がいないことでも分かります。
 踏み出したほうがパワーが出るなら、ドライバーショットで左足をあげる人がいてもいいですけどね。

どのような素振りをするべきか

 バッティングの練習として素振りはやはり有用です。
 気をつける点は、
 1)ピッチャーのタイミングを想定して振る。 待つ姿勢、テイクバック、思い切り振るの3段階をきっちり分けて素振りをする。
 2)投球コースを想定して振る。 打ちたいコースはすべて素振りで練習する。 素振りで振ったことの無いコースはたとえ絶好のストライクでも試合では見逃す。

 あくまで素振りはバッティングの練習であって、素振りという精神修行ではありませんし、これだけやったから上達したはずだという自信の根拠でもありません。
 ストライクを全部振るつもりなら、外角高めも、内角低めも想定して素振りをしましょう。
 出来れば、どのコースを想定するのかを振る寸前に誰かに指定してもらえばなお良いでしょう。

野球には理論が無い?

 野球の起源は、18世紀、ゴルフの起源は15世紀。
 野球は歴史が浅いんです。
 野球は小学生のころに始め、「考えるより先に身体を動かせ」と言われ続けてプロになりますので、誰も理論を考える暇がありません。

 一方、ゴルフは中年になってから始め、理論書を読みふけってから打ちっぱなしに行きますので、理論書はいろいろ充実しています。
 特にお勧めするのは、ベンホーガンの「モダンゴルフ」です。
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