なんちゃってアメリカ式ウィンドミル

理論の研究

 ウィンドミルの一番大事な要点は何か、と考えてみようと言うコーナー。
 もう習得してしまった人には分からないことですけど。
 小学三年生程度の子供を教えているピッチングコーチ向けとして考えます。

要素分解

 暴投しないための要素と、ウィンドミルとして重要な要素は別だと考えます。
 暴投しないためには、リリース時の手首と指の動きを覚えることが重要ですが、ウィンドミルとして投げるためには、腕の振り方が重要です。
 とりあえず脚の蹴り方は、「どーでもいいです」。

どうやって教えるか

 ウィンドミルの腕の振り方なんてゆうと、ウィンドミルの指導者に訊きたくなりますが、血のにじむような努力をしてウィンドミルを体得した指導者には、もう初学者に教えることは出来ません。
 頭で覚えたのではなく体が覚えた人は、人には教えられないのです。

他の運動との統一理論

 ウィンドミルって、特殊な技能でしょうか?
 ちょっとこれを見てください。

 これはドラムの演奏方法に関する教則ビデオです。
 如何に腕の筋肉を使わずにドラムを叩くかという「モーラー奏法」であります。
 さらにもうひとつ。

 これは、ドラマーが握ったスティックを動かすのに、どうやって意識を体幹に持ってくるのかという説明です。
 ドラムのことなんて訊いてないぞってゆーあなた、もう少し我慢して聞いて下さい。

 ボールを投げるのに、ボールに意識を持って行っていると筋力勝負になり、コーチとしても筋力を鍛える練習をさせがちです。
 上のビデオ二つを見ると、それがナンセンスであることが分かるでしょう。
 筋肉より骨格に目を向けるべきです。
 骨格は鍛えなくてもいいですからね。

 ドラマーは、1時間くらいずっと叩きっぱなしなんです。
 筋力を使って叩いていたのでは、すぐに疲れてしまいます。
 プロのドラム奏者の世界にはその答えがあります。
 重力を使い、腕を体幹から動かすことで腕の筋力をほとんど使わずに演奏しているのです。

ソフトボールに応用すると

 腕は常に肩から動かします。
 腕はぶらんぶらんの状態で使います。
 ちょうどアメリカンクラッカーを振り回すような感じ?
 右腕を振り上げるのも、左手で投げ上げるような感じにすればなおよろし。
 肘にも手首にも力を入れずに肩の動きで腕を振り回します。

どうやって練習するか

 まず、肩の構造を理解します。
 腕の力を抜いて、右肩を上げ下げします。
 今度は右肩を前後に動かします。
 そうすると右肩だけがぐるんぐるんとまわせるようになります。
 ここまでは小3の子でも問題ないでしょ。

 今度は腕を肩で引っ張るようにして、腕が一回転する様子をコーチが見せます。
 腕はぶらんぶらんのままです。
 コーチは腕の力が抜けているかどうかを触って確かめます。

肩の向き

 ここでもう少し骨格の話を。
 人間の肩は腕が真後ろの辺りで可動域が途切れます。
 まっすぐキャッチャーを向いたままだと、そこを避けようとして腕に力が入ってしまいます。
 腕は肩より前にしか動かない構造なんです。
 ですから、腕が後ろに回ったら、肩全体もまわして(グラブをキャッチャー側に突き出して)可動域をオーバーしないようにしてやらねばなりません。
 コーチがやって見せれば、何の難しいこともない動きです。

ここまでの確認

 ここまでは突っ立ったままでやってください。
 ヘタに足をつけようとしないこと。
 肩と腕だけまわればいいです。
 間違っても、腰を曲げて低い姿勢なんて取らせないこと。
 肩が回らなくなりますよ。
 ここまでは、グローブもボールも持っちゃ駄目よ。

 ここまでくるのに、30分くらいかな?

次の段階でやっとボールを持ちます

 勢いよくぐるんぐるんと腕が回せるようになったなら、そーっとボールを持ちます。
 腕を回している間、なんとか落とさない程度のかすかな力でボールを指に引っ掛けておきます。
 ボールを握ることで、腕に力が入ってしまわないように気をつけます。

 と、これが「なんちゃってアメリカ式」の2時間目の授業です。

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