ソフトボール理論の要点 重心操作
「軸足にしっかり体重を乗せる」というのは、スポーツの指導現場では良く聞く言葉。
こう言うといかにも指導してるって感じがして、にわかコーチからベテランコーチまで何の疑問も持たずに子供に言うが、これは真実だろうか。
軸足に体重を乗せたままではスィングは出来ないので、インパクトの瞬間には自由脚にも体重が乗っている必要がある。
この「自由脚に体重を移動させる」のがくせものなのだ。
地球上である限り、体重は9.8Gでしか移動しない。
ようするに自由落下するしかないのである。
軸足に体重を移すことで浮かせてしまった自由脚に体重を乗せるまでに意外に時間が掛かるということだ。
自分のタイミングでスィングできるゴルフなどは右→左と体重を移動させてもいいが、ピッチャーのタイミングにあわせざるを得ない野球・ソフトボールバッティングでは、体重を移動させてはいけない。
じゃー、どこに体重を置いておくかというと「体の真下」においておくべきだ。
身体を移動させるときには、移動する体の真下を重心が移動していくだけで、脚の接地点に体重をいちいち移動させてはいけない。
重心を直線移動させれば、足腰にはそれほど筋力は要らない。
それを、靴の上をたどってジグザグに体重を移動させていくから足腰の鍛錬・下半身の強化が必要になるのだ。
「脚ぢゃないところに重心を置いておく」というのを「ダイナミックバランス」という。
スィングなどの動作をスローモーションで理解しようとするとどうしてもスタティックバランスになり、片足になった瞬間は接地脚に体重を移さざるを得ない。
ダイナミックバランスを理解することで、
足腰の鍛錬が不要になり、
一瞬だけだが体重を自在に操れるようになる。
ダイナミックバランスを理解するのに一番適しているのは「歩く」という行為だ。
薄氷を踏むように、上下動をしないように、動き出した体重を慣性の法則だけにしたがって移動させていく。
琉球空手のナイファンチの型は、この感覚を養うための型だ。
しかし、ヤマトンチュの空手家は、ただ移動するだけに見えるこの方を誤解し、接地脚にしっかりと体重を乗せて力強く横に蹴りだしてしまう。
本当は、自由脚に体重を乗せたまま移動するのを練習するのだが、日本の空手家は今野塾をのぞいて誰もそのことを知らない。
たぶん、野球の専門家も誰も知らないと思うよ。
でもこれが、「歩くことはスポーツの基本」ということの本当の意味。
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