初めからモーラーでやるドラム練習法
【第四回】
前回は、モーラーストロークの利点について書きました。
今回は、フリーグリップの仕組み、理念について書きましょう。
フリーグリップは何のため?
一番大きな目的は、「フィンガーアクションをしなくても良いようにするため」です。
スティックを加速するのに、指の筋力を使いません。
腕のストロークそのものを使ってスティックを加速し、大きな可動域のどこでヘッドに接触してもリバウンドで可動域の根元にスティックが帰ってきます。

これが可動域の下限あたり。
ここでヘッドに当たります。

これが可動域の上限あたり。
中指と、人差し指の根元に当たってます。
ここから内回転させると指を使わなくてもスティックが駆動できます。
この、可動域の中でならどこでヘッドに当たってもよいという柔軟性がフリーグリップの利点です。
さて、フリーグリップの意味から考えて練習法を検討してみましょう。
脱力するということは、一打ごとに指や手首を動かさないと言うことです。
内回転ダブルストロークでも、「たんたん」と二回動かしてはいけません。
大原則は、「一打打つごとにバックスイングをしない」と言うことです。
また、「指でスティックを駆動することはやってはいけない。」というのも重要です。
実はこれが現役ドラマーにとってモーラー奏法の習得が難しい原因です。
知らず知らずのうちに指でダブルストロークを打ってしまうので、自分のやっているのがモーラーかどうかわからなくなります。
僕が最初からモーラー奏法でドラムをやろうというのは、指でダブルが打てるようになる前にモーラー奏法を覚えれば、指の練習をせずに済みます。
ダブルの二発目は一発目の続きで打つことが重要です。
だとすると、二発目を打つためにバックスイングしてスティックを迎えにいくことはやってはいけません。
モーラー奏法での最低速度
ダブルストロークはあくまで、リバウンドで打たなくてはなりません。
リバウンドでスティックが上昇し、自由落下するのが一打目と二打目の最大間隔です。
これ以上ゆっくりと練習すると、一打目のリバウンドをどこかで保持してもう一度打ち直すことになり、それはもうモーラーではありません。
リバウンドのヘッドの反発力を可変することは出来ないので、リバウンドのスティックスピードはコントロールできないので、リバウンド間隔を広げるにはより高い位置までリバウンドが届くように手首の角度や指の形を工夫します。
モーラーシックスストロークロールへの布石
シックスストロークロールとは、
RLLRRL…
@ AB
と、外回転シングルと内回転ダブルを使う技です。
@とAのリバウンド間隔は、AとBのリバウンド間隔の2倍です。
リバウンドを捕らえる高さを変えることで、音符の長さを可変するようにします。
タンタタ、と3回打ってはいけません。
あくまで、外回転、内回転とつづくワンストロークで3回の音を出すことが必要です。
モーラー奏法用練習パッドの作り方はこちら。
ドラミングに関する技術的考察はこのページで、川口千里奏法談義。
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