基礎知識編
最低限の知識 その1
二つの音の間隔を音程と言います。 音程の数え方は知っておかないと話が始まりません。
ギターなので、半音が1フレット分です。
同じ高さの音を1度、
1フレット差を短2度、
2フレット分を長2度、
3フレット分を短3度、あるいは増2度、
4フレット分を長3度、
5フレット分を完全4度、
6フレット分を増4度、あるいは減5度
7フレット分を完全5度、
8フレット分を増5度、
9フレット分を長6度、あるいは減7度、
10フレット分を増6度、あるいは短7度、
11フレット分を長7度、
12フレット分を完全8度と言います。
普通に3度というと長3度のこと。
普通に5度というと長5度のこと。
普通にセブンスというと、短7度のこと。
ディミニッシュは、減 のこと。
減5度、減7度、短3度、1度からなるコードをディミニッシュセブンスというのはそのため。
ハーフディミニッシュとは、減5度しか減が含まれないコードのこと。
ブルースか否か
「ブルースはジャズの基本」とよく言います。
それはそれで間違いではないです。
ブルースは、ソロインプロビゼーションの入門<としてはいいですが、コード進行を理解する題材としてはちょっと後回しにしたほうがよいと考えます。
ジャズを含むポピュラー音楽には、「コードが先」と「スケールが先」のに種類があります。
ブルース、その発展系のロックンロールは「コードが先」の音楽です。
コードの構成音とメロディが一致しないのを楽しむ音楽なので、コード理論の理解には向きません。
非ブルースの(古い)ジャズでは、コードの構成音はメロディのスケールの中から選びます。
メジャー(長調)ならば、メロディもコードの音もドレミファソラシドから選ばれます。
マイナー(単調)ならば、メロディもコードの音もラシドレミファソラから選ばれます。
ダイアトニックコード
ブルースではない曲は、メロディに使うスケールからコードを生成します。
ドミソ を トニック
ファラド を サブドミナント
ソシレファ を ドミナント
と呼びます。
それ以外にも、
レファラ
ミソシ
ラドミ
シレファ
など、スケールの上を一つおきに拾ってコードにします。
こうやって作ったコードを、ダイアトニックコードと言います。
キーがCのときは、
Cmaj7 Dm7 Em7 Fmaj7 G7 Am7 Bm7-5
になります。
コードをおしゃれにしたいときは、一つおきに音を足していきます。
数え方は、ドレミを1,2,3とかぞえ、上のドが8、その上に9,10,11と続きます。
ドミソの上にシを足してCmaj7
さらにレを足してC9
さらにファを足してC11といくらでも足せます。
ドミソシレのC9をミから数えるとEm7になります。
これがIの代わりにIIIm7が使える理由。
注意が必要なのは、7,9,11などの音は何度のコードかでちがうということ。
ドミソの上のシは、ドの半音下なので、Cmaj7ですが、
ソシレの上のファは、ソの1音下なので、G7になります。
9は、Em7に足すときは、F音になりますのでEm7-9になります。
ナインス、イレブンスのコードを単に覚えてもだめですよ。
コード譜の省略
ジャズ曲のコード進行をiReal proなどで調べると、例えば Eb7#11などテンションが色々ついていて、「どーやって押さえるんだ?」ということになります。
ここでの前提は、ギターだけで歌もののバッキングをやりましょうという初心者向けなので、ややこしいことは避けます。
1) 11th以上のテンションは無視してよい。
テンションは、色付けなので無くてもいいです。 押さえるのが大変だったら、無視しましょう。
2) #5 , b5は無視しちゃだめ。
1度、3度、5度はコードの性格を決める大切な音です。 省略してもいいですけど、ここは変えちゃだめ。
僕が5度を省略して弾くことが多いのは、変化した5度を弾くのが大変だから。
3) 3度はもちろん変えちゃだめ。
コードのメジャー、マイナーは変えちゃだめなのが原則ですが、
II7 - V7 - I6と
IIm7- V7 - I6 は、おかしくなければ置き換えることはあります。
4) 代理コードで簡単にする。
代理コードとは似たような響き、あるいは似たような機能の違うコード。
I6の代わりにVIm7、この二つのコードは構成音が同じなので置き換えて大丈夫。
V7の代わりにVIIm7-5、
I6の代わりにIIIm5、
など、ポジション移動を短くしたいときに置き換えることがあります。
と、このぐらいの知識を使って自分でも弾けるコード進行を考えていきます。
トニック
さて、「トニック」とは、スケールの第1音をルートとするコード。 例えばkey=CならCがトニックです。
フォークなら C と書いてあれば Cを弾きますが、ジャズではC と書いてあれば、C6 あるいはCmaj7を弾きます。
どっちがいいのかどうやって決めるかは、「気持ちのいい方」です。
ジャズとは? すべてのコードが4つ以上の音で構成されているもの、という定義もあります。
どっかに書きましたけど、「スケール上の音を一つおきに拾う」のがコードの作り方ですが、じゃぁ6度の音って何?、5度の隣じゃん、ということになります。
僕の考えですが、6度は5度の代わりに使うと思っています。
なので、6度をコードに入れるときは大抵5度を省略します。
6度の上の音の重ね方は、6度のうえは実質的に9度になり、I69です。
7度を入れるときは、1度。長3度、完全5度、長7度で、Imaj7 (I△7)になります。
その上を足すと。、IMaj79になります。
この項で出てきた、トニックに使えるコードは、
I6 , I69 , Imaj7 , Imaj79
ですが、この中でどれを使うかは、「気持ちのいい奴」でいいです。
コード譜の指定など無視して構いません。
まぁ Imaj79なんて押さえ方を思いつきませんけど。
響きを確認したければ、1弦開放のパーシャルカポを2カポでCmaj7を弾くとわかります。
I69は、このように指3本で押さえて、バレーコードの代わりに使います。
┬──┬──┬─5┬──┬──┬──┬──
┼──┼──┼─9┼──┼──┼──┼──
┼──┼─6┼──┼──┼──┼──┼──
┼──┼─3┼──┼──┼──┼──┼──
┼──┼──┼─1┼──┼──┼──┼──
┴──┴──┴─5┴──┴──┴──┴──
パッシングディミニッシュ
ディミニッシュとは、特定の調を想起させないようにするコードで、和音構成は短三度を4つ重ねた形です。
IからIImの中間のI#をコードにするに当たって、例えばI#mなどを鳴らすと半音だけ転調したような印象をうけます。
そこで、I I#dim IIm とすることで、滑らかにコードをつながります。
本来は、
┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──
┼──┼b5┼──┼──┼──┼──┼──
┼──┼──┼m3┼──┼──┼──┼──
┼──┼─6┼──┼──┼──┼──┼──
┼──┼─X┼──┼──┼──┼──┼──
┴──┴──┴─1┴──┴──┴──┴──
I#dim
このように2弦で減5度を押さえますが、僕はこれが押さえられないので、
┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──
┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──
┼──┼──┼m3┼──┼──┼──┼──
┼──┼─6┼──┼──┼──┼──┼──
┼──┼─X┼──┼──┼──┼──┼──
┴──┴──┴─1┴──┴──┴──┴──
I#dim
三本だけを押さえます。
こうすることで、I6のフォームから指をスライドさせるだけで押さえられます。
じゃぁ、パッシングディミニッシュを含んでツーファイブの解説です。
まず、ドミナントセブンスの処理ですけど、普通はこのフォームになります。
┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──
┼──┼─1┼──┼──┼──┼──┼──
┼──┼──┼──┼b7┼──┼──┼──
┼──┼──┼─3┼──┼──┼──┼──
┼──┼──┼──┼─1┼──┼──┼──
┴──┴──┴──┴─X┴──┴──┴──
V7
これがジャズっぽくないということではないですが、僕は押さえられないのです。
そう云うときに、押さえられるように頑張って練習するというのもアリですが、私は無理だったので押さえられるコードを探します。
ジャズっってゆーのは、ある程度好き勝手にテンションを入れていい音楽なので、使えるテンションを探します。
ドミナントセブンスのスケール上の解釈は、
ド
レ
ミ
ファ
ソ ● ルート
ラ
シ ● 3度
ド
レ ● 5度
ミ
ファ ● b7度
ソ
ラ ● 9度(2度)
となります。 スケール上の音を一つおきに拾うというのがモダン以前のジャズの方法です。
これで、セブンスはフラット、ナインスはナチュラルが使えることがわかります。
┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──
┼──┼──┼──┼─9┼──┼──┼──
┼──┼──┼──┼b7┼──┼──┼──
┼──┼──┼─X┼──┼──┼──┼──
┼──┼──┼──┼─1┼──┼──┼──
┴──┴──┴──┴─X┴──┴──┴──
V79
これで、指二本で押さえられるドミナントセブンスが押さえられるようになりました。
subject:ジャズのおけいこ
date:06-jul-2021
ジャズには理論が必要です。
自分の感性だけで十分だという人はそれでもいいですけど、僕はサボるために理論を使います。
コード譜にあるけど、弾かなくていいテンション、
勝手に入れていいコード、
邪魔臭ければ弾かなくていいコード
好きなように変えてもいいコード
など、楽に弾くために知識が必要です。
フォークのカバー弾き語りなら、まずはお手本の通りが基本なので何も考える必要はなく、本やwebで調べたとおりに弾けばいいだけです。
ジャズの世界では「カバー」という概念はないので、仕入れてきたコード譜は参考にしかなりません。
それどころか、他人が作ったコード譜は、「その通りにだけは弾いてはいけない」ものです。
コードには、それぞれ役割があります。
コードネームではそれがわかりません。
役割は、ルート音からの音程で判別します。
ある曲を、Bbで演奏するのも、Abで演奏するのも理論的には同じはず。(Saxがいると文句はでますが。。)
すべて音程で話ができるように理論が必要です。
subject:コード進行
date:03-jul-2021
コード進行には、ある程度の定番進行があります。
【スリーコード】
key od Cで言うと、
C / F / G7 / C
の3種類だけが出てくる進行です。
これをany keyで言えるようにするために、
I / IV / V7 / I
と書いたり、ナッシュビル式だと、
1 / 4 /57 / 1
と表記したりします。
I トニック
V7 ドミナント
IV サブドミナント
と呼びます。
ドミナントとは、「支配的な」という意味。
次にくるコードをIに限定する力があります。
【5度進行、ドミナント進行】
V7 / I
と進行する部分のこと。
曲の終わりによく出てくるので、「終止:ケーデンス」の中でも完全終止と呼びます。
【ツーファイブ】
ドミナント進行をちょっと豪華にします。
IIm7 V7 / I
ドミナント進行を2つ重ねた感じですけど、ダイアトニックコードの範疇内でIIm7を使います。
【ドッペルドミナント】
ダブルドミナントのドイツ語読みです。
本当に5度進行を2つ重ねた形で、IIm7じゃなくてII7を使います。
ダイアトニックコードからは外れますので、メロディが変わります。
【いちろくにーごー】
I/VIm7/IIm7/V7
ダイアトニックコードの範疇で、5度進行を3つ重ねます。
I VIm7 / IIm7 V7 /I I#dim / IIm7 V7
という4小節パターンで、延々と他の楽器の準備完了待ちなどにつかいます。
subject:ドミナント
date:22-jul-2021
ドミナントの意味は、支配的ということ。
次にくるコードをトニックに支配する感じのコードのこと。
ソ 1度
シ 3度 ┓
レ 5度 3全音
ファ 短7度 ┛
V7というコードですが、短7度を足すと響き的には不安定な全音3つ分の三全音の音程を含み、シファがドソに移行したがる感じを生むとされてます。
要は次がImaj7になることが期待されればいいので、
トニックの半音下とか半音上の
VIIm7-5 とか、
I#m7 などが代理コードとして使えます。
テンションとしては、通常通りV79が使えますが、注意を要するのは、関係単調のVIm7をトニックとする単調の場合は、III7-9になるということです。