Fが押さえられなくても、ジャズギターが弾けますよ。

ジャズのバッキングのことを「コンピング」と言います。
ここでは、古い(モダンジャズではないという意)ジャズ曲のボーカルバックをギター一本でやる方法について論じます。
ちゃんと勉強して、ややこしいコードを押さえるようになりたい人は、他にお回りください。
Fコードで挫折した人がフォークをすっ飛ばしてジャズを弾こうというページです。 バレーコードは出てきません。
ピアノとのアンサンブル編
subject:ピアノアンサンブル
date:22-jul-2021

 ピアノという楽器、習っている最中にはアンサンブルを一切やらないこともあって他の楽器と一緒に演奏するということにピアニスト全般が馴れていません。
 アンサンブルピアノは楽譜が作れません。
 一緒に弾く人がどんな音を出すのかで、ピアノをどう弾いたらいいのかが変わるので、予め練習が出来ません。
 アレンジ譜を書いた途端に、ジャズではなくなります。
 書いても、コードのメモとテーマのメロディ程度までです。
 
 じゃ、どうすりゃいいのさというのを書いていこうと思います。


subject:アンサンブルの基本
date:22-jul-2021

◎相手と同じことをするのか、違うことをするのか。
 少人数アンサンブルでは基本的には、相手と違うことをやります。
 誰かと同じことをしなくちゃいけない場面は、例えば人数が揃ったカントリーのバンドにピアノで参加するなど、もともとピアノの居場所がない音楽スタイルのときです。
 
◎基本的な考え
 椅子取りゲーム、と考えてください。
 ベース、メロディ、ハーモニー、表リズム、裏リズムなどの椅子が並んでいます。
 空いているところにしか座れません。
 
 競合したときにどっちが優先か?は力関係で決まります。
 初めて一緒に音を出したときに、「どこに座る?」という探り合いをやります。
 
 二人しかいないなら、誰も座らない椅子も出てきます。
 どの椅子を捨てるか、も重要ですが、どんな椅子があるのかを知るのが一番大事。
 
 ピアノは、習っているときに「全部の椅子を一人で埋めなさい。」と言われて育ちます。
 ギター弾きは、自分が埋められない椅子があるのを知っています。
 まずはどんな椅子があるのかを知りましょう。


subject:アンサンブルの基本
date:31-jul-2021
 例えば、On the Sunnyside of the streetをやってみようとします。
 youtubeを探すと、例えばこんな例が見つかります。

wikiによると、トミー・ドーシーのこのあたりが定番のようです。
Tommy Dorsey & the Sentimentaists


唄ものなら、こんな感じがスタンダードかな。 ビリーホリデイ。
Billie Holiday 1944


ドラムレス、3管、2ギター、ベース、スプーンという構成。
ギター2人の役割分担に注目。
Bar Colombia, Sant Andreu, Joan Chamorro, Andrea Motis, Sept. 2019


森川七月


 自分たちでこの曲をやろうとする場合、先人たちの演奏を参考にして自分たちのスタイルを作るわけですが、同じ楽器構成を用意して、「それぞれ担当楽器をコピーしてきてね。」というのはジャズではありません。
 先人たちの演奏にとらわれず自由にやればいいではないか、というのもアリはありですが、新しいことをやるのは、もっとわけがわかってからのほうがいいです。
 
 コンボ編成や、デュオなどでは、演奏は椅子取りゲームです。
 どんな椅子が並んでいるかというと、
(1)表拍リズム
(2)裏拍リズム
(3)ベース(表拍低音)
(4)刻み
(5)メロディ、主旋律
(6)カウンターメロディ、オブリガード
(7)シンコペーション系リズム

だいたいこんな感じ。
 10人以上のラージコンボなら、それぞれの椅子がでっかくて二、三人が座りますが、人数が少なくなると、一人でいくつもの椅子に座る必要が合ったり、捨てる椅子もあります。
 
 ドラムとベースがバンドにいるなら、(1),(2),(3)までが常時占められているのであとの人はどこに座ろうが自由ですが、(3)のベースを邪魔しないようにそこは避けます。
 普通、ジャズギターを練習しましょと、用意するマイナスワン演奏も(1)(2)(3)までは揃ったものを使うのが普通ですが、このページの主題は、ギターだけ、あるいはギターとピアノだけという前提です。
 
 ギター一本の場合は、(3)(4)(1)(2)までをギターだけで担当し、あとは捨てます。
 馴れてくるとだんだん(6)とか(7)あたりがちょこちょこ入れられるようになります。
 
 問題は、ギター+ピアノの場合です。
 どちらがどの椅子に座るかは、バンド内のチカラ関係で決まります。
 往々にして、ピアノさんは(1)〜(7)まで一人でやろうとします。
 クラシックのピアノ教育を受けているいないにかかわらず、ピアノは全部一人でやる指導しか受けて居ないので仕方ありません。
 
 ここで、上に挙げた先人たちの録音を聴いてみると、ピアノは(6)(7)あたりを担当しているのがわかります。
 注目すべきは、Bar Colombiaでの演奏で、ギターが2本ありますが、その分担です。
 一人が(4)の刻みを担当し、もう一人は(6)(7)を担当してます。

 さてここで、

を聴いてみてください。
 言わずとしれたMinor swingですが、ギターがマカフェリ(右)とアーチトップ(左)の二人が居ます。
 普段はマカフェリが刻みを担当して、アーチトップはオブリを弾いてますが、いざマカフェリがソロを始めて、刻みのパートが空いた途端にアーチトップが刻みに回ってきます。

 このように、少人数コンボなら空いた椅子があったら他の人でそこを埋めなくてはなりません。
 
 自分が何を弾くか以前に、バンドとして必要な音は何か?という視点が必要です。


subject:ジャズピアノを習うということ
date:31-jul-2021
 
 ジャズピアノを習うという事象をよく目にしますが、「ジャズピアノ」というのは、実は色々な種類があります。
 1)ジャズ曲の、ポップスとしての弾き語り
 2)ジャズ曲の、ジャズとしての弾き語り
 3)ジャズセッションにピアノで参加するためのジャズピアノ
 4)ジャズ・コンボのリーダーとしてのジャズピアノ

とこのくらいのカテゴリはあると思います。
 この上に、
 5)ジャズピアノのソロパフォーマンス
があるんですけど、ここまで来ると「習う」ということはありません。
 
 1)と2)は、アンサンブルではないので、他の楽器とセッションしようとすると別の技能が必要です。
 ですが、「ジャズピアノを習っている」というと、「セッションしましょ」と誘われることは多々あります。
 
 ジャズピアノを「習う」ときは大抵、ピアノ弾きの講師に習いに行き、レッスン室にはピアノがあります。
 ピアノを弾く先生からは、ピアノ以外の楽器とセッションするメソッドは習いにくいわけで、セッションする方法というのは自分で方法論を「習う」のとは別に考える必要があります。
 
 方法論と言っても、楽器を習得するときの一般的な方法の、
「歌えれば弾ける」
ということで、いっぱい聴いて頭の引き出しをいっぱいにするだけです。
 
 やってはいけないのは、
「先生、この弾き方でいいですか?」
と訊くことです。
 自分で判断しましょう。


基礎知識編
実践編
ピアノとのアンサンブル編